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2014.02.21

盛岡整体 盛岡均整院のブログ13

【 相互理解と理想について 】

      

・・・日本の新聞の投書にもおもしろいものがあった。

「平和は実に大切なもので、誰もが平和を望みさえすれば、必ず達成できるのです」 という手の論旨も幾つか見た。

私はこれを 「ほっておけば草が生えて生えて困ってしまう土地の論理」 という言い方をしている。

それは、とりもなおさず、水がある土地の論理である。

日本では、水撒きをしている人に、通りがかりの人が、「すいません、水いっぱいのませてください」

といっても、断られることは百パーセントないし、その言葉が非常識だと思われることもない。

しかし乾燥した砂漠では、一つのオアシスの水の保有量は、自分の部族とその家畜を養うのがやっとである。

だから、命の水を狙ってくる他部族に対しては、

常に闘ってそれを追い払い続けることで、自分の部族をの生活を守らなければならない。

砂漠では闘争は日常のことである。

だから、心で平和を願い、口で平和を唱えれば、それは叶えられるものだ、などという甘いことは、とうてい考えられない。

・・・現世には、完全にいい人もいず、完全な悪人というものもいない。その中間にいる人ばかりである。

もちろんずいぶん善人に近い人もいるし、かなり悪いことばかりする人もいるが、善か悪のみ、という人はいない。

だから完全にいい人の代わりに、人間は神という概念を思いつき、完全に悪い人の代わりに悪魔という存在を考えた。

しかし神も悪魔もどちらも現世に人間としては存在しない。

・・・民主的な社会では、人々は決して一致した考え方をしない。 人々はめいめい勝手に評価する。

だから理想とはほど遠い軋轢だらけの現実を生きることとなる。

理想が簡単に手に入るものとして位置づけられることは、、かなり危険である。

理想は苦い現実のかなたに、永遠に到達できなそうな、

しかし決して諦めてはいけない一つの悲願として、遠くに輝き続けべきるものなのである。

    

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 曽野綾子

   

最近もまた、多くの随筆などを出版されている、作家の曽野綾子さん。

「発展途上国」といわれる貧困の国に何度も足を運ばれているこの人の、ものごとの本質を鋭く突く言葉を聞くと、

安易な気持ちでは「平和」や「正義」、「幸福」などの言葉を口に出せない、背筋が伸ばされるような思いをもたされます。

    

以前のブログで、「相互依存出来るのがよい大人の条件だ」という言葉をとりあげました。

そして、相互依存(お互いに助け助けられる関係)を築くには、まず相互理解が必要となります。

「相手を理解しようと努めること」「相手の立場に立ってものを語り、行動すること」は、とても大切です。

しかし、「他人というものはそう簡単に理解出来るものではない」ということを心に留めておくことも非常に大事なことです。

   

・・・人間は、どうしても自分の考え方を基準にして、相手のことを考えてしまうものです。

相手の立場に立ったつもりでも、自分の経験、自分の思惑の外からものごとを捉えるのはとても困難です。

しかし、国や地域、時代などが違うだけで、全く価値観やイデオロギーが変わってくるものです。

また、今の多様化した時代では、たとえ身近な人でも、考え方は違うものと思わなければいけません。

だから、相手を理解するには、なるべく多くのコミュニケーションや情報が必要であり、

ひとりよがりに「理解した」と思い込んだだけだったりすると、相手を傷つけることにもなりかねません。

   

曽野綾子さんは、「人を信じる」ということについても、

「それは血のにじむような複雑な人間理解の上に立ってなされるべきことである」と言っています。

少し知り合ったくらいの関係で、安易に、人間に対する「信頼」とか「理解」が大事とか述べるのは、

人間という複雑な存在にたいする「冒瀆」であるとまで述べています。

  

何にしろ、相手を理解するということ、相手の立場に立つということは簡単なことではないということです。

しかし、たとえ「砂漠の生活」が私たちには出来ないにしろ、それをなるべく詳しく知り、想像するよう努めることが大事です。

その努力が、相互理解をし、頼り頼られる関係を築く第一歩となるのです。

・・・これらによって明らかにすべきは、「平和」や「自他共楽(共栄)」などの「理想」を掲げることの重さです。

また、人種差別や宗教間・民族間の根深い争いなど知らない今の日本人が、安易に「理想」を唱えることの危うさです。

けれども、「理想が困難なものだ」という前提のもとだからこそ、「理想」に向かって力強く進んでいけるともいえるでしょう。

   

そして・・・たとえ、どうしても理解することが出来ないと思われる相手がいたとしても、

「君の意見には反対だが 君のその意見を言う立場は 死を賭しても守ろう (ヴォルテール)」

という姿勢をもつことが、真に相手の立場を思いやり、人間として尊重することになるのだと思います。

言葉のちからはとても強いからこそ、もっと思慮深くなる必要があるなと感じます。

「簡単には実現出来ないからこそ理想」と見定め、しっかりと、ブレないで歩んでいく姿勢が大事なのでしょう。

     

 

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