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2016.07.05

盛岡整体 盛岡均整院のブログ27

【 自分の感受性くらい 】

     

ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて

  

気難しくなってきたのを

友人のせいにするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか

   

苛立つのを

近親のせいにするな

なにもかも下手だったのはわたくし

  

初心消えかかるのを

暮しのせいにするな

そもそもが ひよわな志にすぎなかった

   

駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに残る尊厳の放棄

  

自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 茨木のり子

   

茨木のり子さん(1926-2006)は戦後の日本を代表する女性詩人です。

上の「自分の感受性くらい」は茨木さんの最も知られている詩のひとつで、ご存知の方も多いと思います。

解説など不要な、しっかりと心に響く尊いメッセージです。

  

私ことですが、気付いたらあと2年足らずで50歳を迎えます。

30代、40代と過ごしてきて、徐々に老化の兆候も出てきている感じです。

「身体の疲れが取れ辛い」 「怪我をすると回復が遅い」 「言葉が聞き取りづらくなり、言われたことに対する反応が遅い」

・・・等々、以前のようには思うようにならない自分にイライラすることもあります。

そんな自分を省みるとき、この詩が大切なものを教えてくれます。

  

同じく茨木のり子さんの詩に「汲む」という作品があります。

     汲む -Y.Yに-

     大人になることとは   すれっからしになることだと   思い込んでいた少女の頃

     立居振舞の美しい   発音の正確な   素敵な女のひとと会いました

     そのひとはわたしの背のびを見すかしたように   なにげない話に言いました

     初々しさが大切なの   人に対しても世の中に対しても   人を人とも思わなくなったとき

     堕落がはじまるのね   堕ちてゆくのを   隠そうとしても   隠せなかった人を何人も見ました

     私はどきんとし   そして深く悟りました

     大人になってもどぎまぎしたっていいんだな  

     ぎこちない挨拶   醜く赤くなる   失語症   なめらかでないしぐさ

     子どもの悪態にさえ傷ついてしまう   頼りない生牡蠣のような感受性

     それらを鍛える必要は少しもなかったのだな

     年老いても咲きたての薔薇   柔らかく   外に向かってひらかれるのこそ難しい

     あらゆる仕事   すべてのいい仕事の核には   震える弱いアンテナが隠されている   きっと・・・

     わたくしもかつてのあの人と同じくらいの年になりました

     たちかえり   今もときどきその意味を   ひっそり汲むことがあるのです

  

感受性は鍛えるものではないのです。

「頼りない生牡蠣のような」・・・やわらかいままの感受性を、いかに大切に心に抱き続けているか、が大事です。

大人になる、年をとるというのは、決して人や世の中、そして人生に慣れる(狎れる)ことではありません。

自分が受けた素直な感じ方を捻じ曲げてまでも 「強くあろう」 とすることでもありません。

自分の目の前に現れるものごとのひとつひとつを、どう受け止めて、どう捉えて、どう感じるかということは

「その人の人生を決める全て」といってもよいことです。

いかに自分に正直に、素直に、とらわれることなく、潤いをもち、しなやかに生きてゆけるか。

そうなるためには、何かのせいなどにするのではなく、すべて自分次第であると自覚しなくてはならないのです。

  

「心身一如」というように年を経て身体が硬くなってしまうと、心まで硬くなるおそれがあります。

ですから、身体のケアをすること、身体を動かすことなどが大切です。

「ヒトの脳の神経細胞は、生まれてから1日10万個死滅し続けている」という説が昔流行りました。

しかし、脳のことは未だ未知のことが多く、年をとっても脳の神経細胞は増やせるという説も出てきています。

体全体をみても、37兆個もの細胞のうち、毎日数千億個ほどが死滅と再生を繰り返しているといわれています。

私たちの(表面上の)意思とは関係なしに、一つひとつの細胞が常に変化しているのです。

「活き活きと生きる」ことを求めるが如く、です。

「年だ」「老化だ」と悲観しているそばから、体内は一所懸命「生きよう」と変化します。

それを後押しするように、私達は自信をもって、硬くならない、やわらかなこころをもち続けることが必要なのです。

やわらかく  やわらかく   それが身体にも良い影響を与えてくれます。

 

 

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