2017.11.05
【 準備して、全力を出す大切さ 】
成功という言葉は嫌いだし、記録、記録と騒がれるのも嫌いです。
記録とは、だれかが別の人間より優れている、という意味ですから。
みんな、記録で選手を比較したがる。
記録に価値がないとか、重要ではない、と言っているわけではありません。
一番大事なのは、ベストを尽くしたかどうかです。
準備をしっかりして、全力を出しきったかどうかです。
準備もせずに記録を出したら、満足できるわけがない。
準備万端整えて、一生懸命努力して、ベストを尽くしてはじめて、自らを克服できる。
そうすれば本当の意味で満足がいくはずです。
そこまでやったのに、ほかの人間に先を越されたら、それはもうしかたがない。
だれが一番で、だれが二番かと考える前に、はたして自分がベストを尽くしたかどうかを反省すべきです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ イチロー
日本のプロ野球、そして米大リーグで数々の記録を打ち立てたイチロー選手。
大リーグ1年目を終え、快挙といえる素晴らしい成績を収めたことに対してのインタビューの答えです。
上の言葉のように、イチロー選手は「ライバルは特にいない、ライバルは自分自身」とも話しています。
日常生活まで野球のために非常にストイックであり、常に自己を高める努力を怠らず、日々挑戦し続けています。
その積み重ね、努力がプロ野球選手としての輝かしい記録、今の結果になっているのでしょう。
以前に、ブログの24の中で、「最高の準備をしてきたので、あとは楽しむだけでした!」 という言葉を取り上げました。
怪我から復帰したプロ野球選手が代打勝ち越しタイムリーを打ち、ヒーローインタビューで話したものです。
イチロー選手もまた「準備」の大切さを度々口にしています。
上のインタビューもそうですし、また別にも以下のようにお話ししています。
「ハイレベルなスピードでプレイするために、僕は絶えず身体と心の準備をしています。
自分にとって一番たいせつなことは、試合前に完璧な準備をすることです。」
しっかり状況分析し、自己分析し、準備万端にするには何が必要か見極めて、それを行動に移す。
言葉でいえば簡単な事ですが、何をすべきか見極めるのも難しいし、すべきと決めた事をひたすら打ち込むことも困難です。
己を強く信じ続けなければ出来ない事ですし、モチベーションを維持するセルフコントロールも並大抵ではありません。
イチロー選手は自分は天才ではないといい、努力型の人間だと自己分析しています。
コツコツと練習を積み重ねてその成果が結果として現れる。
原因があり、結果がある。 あたりまえのことだとサラッと話します。
問題は” あたりまえ” のことにするまでの、人一倍の努力をあたりまえに出来るか、ということです。
もちろん好きなことをしていれば、努力も苦しいものと捉えずいれるのでしょう。
それでも、プロとはいえ生活のすべてを準備のためとし、自己をコントロールし、そして結果を出し続ける姿に感服します。
イチロー選手は小さい頃からずっと、「出来るわけない」という周りの声に反発し、その言葉を覆す結果を出してきました。
体が小さく細身ということで、高校野球であんなに活躍したのに、ドラフトでは4位でしか指名されませんでした。
プロになって最初の2年間は、独特の打撃フォームを否定され、1軍と2軍の間を行ったり来たりしていました。
大リーグ挑戦が決まったときも、多くの「活躍は無理」という声が色々なところからあがりました。
彼はそんな様々な声、それらからのコンプレックスをバネにして、それらをエネルギーに変えて行動してきたのです。
周りの否定する声を覆してやろうとする意志、それが「完璧な準備」を求め続けるモチベーションになっていると思います。
・・・今年の7月末にアメリカのカリフォルニア州にて、4年に1度開催される少林寺拳法の世界大会がありました。
私も相方の拳士とともに日本代表としてその世界大会の男子マスターズの部に出場してきました。
結果は、準優勝の2位。 銀メダルをいただくことが出来ました。
実は世界一のみを目指して二人で切磋琢磨し取り組んで、そして1位の組に総合点でわずか1点及ばずの2位でしたので、
嬉しさより悔しさの方が強いのですが・・・
しかし、帰国後、皆に祝福していただいて、喜んでいただき頑張ったかいがあったとホッとしています。
有難いことに今度、岩手県体育協会より栄光賞の表彰をしていただけることにもなりました。
思い返せば昨年末より、世界大会本番に向けて、準備万端整えてベストを出し切れるように、と修練を重ねてきました。
「最高の準備」を目指して行動し、通し練習を繰り返し、今までで一番良い感じに仕上げてきました。
渡米後は移動疲れや時差や寝不足、環境の変化や僅かなプレッシャー等、色々なマイナス要因も予想通り出てきましたが、
十分準備してきたという自負があったので、それらに動じることもなく自信をもって本番を迎えることが出来ました。
そして、自分たちとしては満点といかなくても十分やり切ったといえる演武が出来たと思います。
これが逆に、準備が不十分だったら様々なものに動揺し、満足いくものにはならなかったと思います。
しっかり準備し、一生懸命努力して、ベストを尽くしたという満足感、それを体感出来て非常に良かったと感じています。
もともと、相方と組んで全国(世界)大会で1番を目指そうと決心したのもコンプレックスからが大きかったです。
少林寺拳法の全国の拳士のなかで「岩手県はレベルが低い」という声が聞こえてくる時があったり、あるいは少林寺拳法の
全国研修などに参加した時に「岩手です」と紹介すると反応が悪かったりしたことがありました。
また、一般の方の少林寺拳法に対するものでも、「少林寺拳法って何?」「マイナーだよね」という声もよく聞いていました。
それらのものがコンプレックスとなり、何とかそれらの声を覆したい、打破したいという思いがエネルギーとなったと思います。
もちろん自分の夢・目標に突き進むエネルギーはコンプレックスからだけではないでしょう。
そして、なんにしても重要なのは、自分が「出来る!」「なれる!」と信じることだと思います。
なりたい自分を具体的にイメージして、なりたい自分になったことを思い続けることが必要でしょう。
さらに、しっかり自己を見つめ、目標に対しての自分のおかれている立場・状況をよく見定めることです。
あとは、何をすべきかを決め、課題を一つ一つ克服し、くじけずに努力を積み重ねることです。
準備をしっかりして、全力を出しきる、ベストを尽くす。
プロセスを大事にして、自己に挑戦し、己に打ち克つ、それが、根本的な「自己実現」なのでしょう。
記録や順位、他の人と比較することは、その次に存在することです。
周りの声・周りの評価ではなく、自分自身に対する、己の評価だからこそ、準備というプロセスを一番大切にする。
ベストを尽くし、自らを克服することに価値を見い出す。
本当の意味での自己実現はそういうものだというのを、イチロー選手の言葉は教えてくれます。
Copyright (C) kinsei.cloud-line.com All Rights Reserved.