2015.11.30
【 心にフロー化を起こす 】
・・・「フロー」とは心の状態のこと・・・私は「揺らがず、とらわれず」と表現しています。
武道でいう「無」の状態に少し近いのかもしれません。
そして心の状態がフローの方向にあれば、パフォーマンスがよい方向へ行く。
これが私の考え方の根底にあるところです。
パフォーマンス・・・別の言葉でいうと「行動」ですね。 もっと広くいうと「生きる」ということ。
つまり心の状態が人生の質に影響している、といえるわけです。
「揺らがず・とらわれず」の状態を邪魔するのは脳が「意味づけ」をすること。 つまり「認知」の機能です。
・・・これはスポーツに限ったことじゃなくて、日常的にもあることです。
雨が降ってきたとき「嫌だな」と思う。 電車が遅れたら「ちきしょう!」と思う。
でも雨に「嫌だ」という意味はないし、電車の遅れにも「ちきしょう!」という意味は付いていない。
このように意味付けすることで、心の状態に変化を起こしていく。
ですから、外側の状況にとらわれず、いつも心を気持ちのよい状態、「揺らがず・とらわれず」に保つことが大切なのです。
そして、フローの状態がなぜ自分にとってよいのか、しっかり考え、認識しておくことが必要です。
その上で、心の状態をフローに持っていくために「表情、態度、言葉、思考」に気をつけます。
そして「今に生きる」こと。
脳が意味付けをするのは、大体過去や未来のことを考えるからです。
今やるべきことに集中することで、心が揺らがず、フロー化が起こります。
更に「感謝する」。
理屈を考えるのではなく、ただ「有難いな」と考える。
シンプルなことですが、これで心がフローになるのです。
認知の脳にとらわれた現代人の多くは、心が病んでいる。
外側の出来事に依存している人は「何かよいこと」が起こったときしかよい状態になれない。 すごく残念なことです。
極論すれば、ライフスキルを磨いて、みんながフローになれば世界平和だって夢じゃないと私は思っています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 辻 秀一
スポーツドクターで「フロー理論」提唱者の辻秀一さん。
バスケットボール漫画を題材にし、平成12年に出版された「スラムダンク勝利学」は多くの方に読まれました。
・・・先月のことですが、私が修練している少林寺拳法の全国大会が京都府で開催されました。
私も岩手県代表として、奥州市の拳士と組んでマスターズAの部(ともに45歳以上)に出場しました。
岩手県の少林寺拳法は、ここ10年近く入賞はおろか本選にも進めず予選落ちで、全国的にレベルは低く言われてきました。
そんな評価を打破すべく、私達は最優秀賞を獲ることに目標を定め、「岩手に日本一を! プロジェクト」と勝手に命名して、
2月末から月に2~4回ほど(お互い遠いので)演武の修練を重ねてきました。
目標を高くもった故に、演武構成を何十回も粘り強く練り直し、動き方や間合、布陣や武的要素などの研究をしてきました。
・・・以前プロ野球のテレビ中継でたまたま観たのですが、怪我をして戦列を離れていた選手が出場したゲームがありました。
怪我から復帰後の初めてという試合で、その選手が代打サヨナラ安打を打つという劇的なものでした。
その選手は復帰のためにかなりの練習をして仕上げて来たらしく、ヒーローインタビューでこんな感じで答えていました。
(久々に打席に立ち緊張はなさいましたか、の問いに) 「最高の準備をしてきたので、あとは楽しむだけでした!」 と。
・・・「最高の準備」とは、これ以上ない納得するまでの練習と、それによる自信、身心の万全の仕上がりのことでしょう。
万全の仕上がりだと、不安は起きなくなります。 不安がないとマイナス面での過度の緊張感というものは無くなります。
ほどよい緊張と集中があり、「揺るがず・とらわれず」・・・ あとは楽しむだけといった心境です。
私達もあとは、大会で動くだけ、結果を出すだけという感じに仕上げていきました。
大会が始まり、のびのび動いた予選は、コート中トップの成績(点数制です)で通過しました。 そして、いよいよ本選。
「ミスしないように」 少しだけ動きが硬くなったのを感じました。 それでも充分やり遂げた感がありました。
結果は・・・最優秀賞の組と総合点でわずか1点差の「優秀賞」でした。
「日本一になる」・・・有言実行はあと一歩で成らず、あとほんの1点差という結果にとても悔しい思いをしました。
それでも全国2位は、岩手県の少林寺拳法では始まって以来の快挙ということで、皆さんから驚きと多くの祝福を頂きました。
少しでも岩手県の少林寺拳法の活性化につながる一助になれたのでは、と思っています。
日本一は逃したのですが、本番でのパフォーマンスは揺るがずに集中できて、「フロー状態」といえるものだったと思います。
・・・辻秀一さんがこうも言っています。
『根拠(過去・現在の実績や状況)を元に目標を設定するのが一般的だが、" こうなりたい" という目標をもち続けていた方が、
すぐにその目標を達成できるかどうかは別として、必ずそれを実現するための" 根拠" が後からついてくるものだ』
私たちも根拠が無いところから、最初に" こうなりたい" という高い目標を設定し取り組んで来ました。
そうすることで、目標達成のためにやるべき事を明らかにしなければならなくなったし、目標を声に出しながら行動することで
自分たちの潜在意識から変化が起こり、「表情、態度、言葉、思考」も変わっていったと思います。
そして、他の人達から様々な協力や助言もいただき、それらに感謝し、修練の一時一時に集中し大事に取り組んでゆく中で、
周りの色々な力に自分たちが引かれていくようで、大会まですごくいい感じで状況が回っていったのを体感しました。
まさに" 根拠" が後からついてきたという感じです。
目標としていた1位(最優秀賞)を達成したわけでは無いので、あれこれと偉そうなことは言えませんが、
それでも目標を高く設定したからこそ、全国2位という結果が出たのだと強く感じます。
『心がフローの方向にあれば、行動そして生きることがよい方向に行く』
・・・心は自分発信のものかもしれませんが、その心の質によって周りの人が、周りの状況が、世界がそれに反響を起こして
変化をし、回っていくのだということを感じることが出来ました。
受身ではなく、心の状態、心の質、思いの方向を変えようとすすんで行動することで、フロー状態へと変ってゆきます。
それが周りの人達に伝播してゆけば、お互いがより良い状態、より良い世界へと変わることが可能なんだなと感じています。
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