2013.11.19
【大人の役割について 】
子どもの言うことをよく聞いてあげれば、子どもは相手のいうことをよく聞けるようになるのです。
これはもうすべての人間関係に言えることですね。
しみじみ思いますが、一般的に子どもの言うことをよく聞いてあげない大人ほど、子どもに対する要求が大きいですね。
また何君はこうだ、何君たちはああだ、何君たちはできるのに何君たちはできないと、比較でものを言うのです。
だからどんどん子どもが自尊心を奪われてしまうのです。
幼児への早期教育についても、こうなってほしい、こんなことができてほしいという親の気持ちがあるわけです。
だけどならなくていいよということを言わないで、こうならなくちゃいけないのだとか、
ああしなくちゃならないのだと言いすぎたら干渉になり、過干渉になっていくのだと思います。
そしてそのことは、ありのままを承認していないということになるのではないでしょうか。
自分を否定されたら子どもというのは自分に自信を持って生きていけないのです。
自尊感情とか、自己肯定感を奪われることですから。
僕は犯罪をしてしまう少年はすべてそうだと思います。
自己肯定感がないのです。だから他者を尊重しないのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 佐々木正美
児童精神科医の佐々木正美さん。 現在まで四十数年、多くの子ども達やその親を救ってきた方です。
前回のブログの伊藤幸弘さんとは、対談集の「子供に悩まされる親 親にダメにされる子供」という本を出しています。
伊藤さんの考えと同じく、幼児期からの子育てで、「過保護でいいのだ」というくらいの”保護”をすることにより、
子どもは安心し、自己肯定感を得ることが出来、信頼関係を築いて、「生きる力」を得ることが出来ると話しています。
また、佐々木さんは「日本人はだんだん自己愛的になってきた」と訴えています。
その現れとして、大人が、親が、子どもをあまり産まなくなったことや、
自分がやりたいことを優先しようとするようになったことなどをあげています。
また、子どもを無条件で愛せない、条件付きで愛する親が増えている、といい、
それゆえに自分の思い通りにいかない場合はすぐ憎しみに変わるのだ、と話します。
しかも、子どもには「お前のことを思って」と言い、自分の自己愛からきてることの自覚がない、というのです。
「大人」とは、社会の中での成年とか単なる年齢の他に、精神的に成熟したとか、責任感のある人の意味もあります。
自分のことだけではなく、次の世代を生きる子ども達をしっかり見守る存在でもあると思います。
「自己愛」があるのは、皆同じで、しょうがないことです。
そのかわり、「自己愛で行動していること」をしっかり自覚してくれればいい。
しかし、社会を生きる一員として、子どもに対する「大人の役割」というものも考えなくてはならない・・・
佐々木正美さんや、伊藤幸弘さんのことばに触れ、強くそう思います。
佐々木正美さんは、よい大人の条件というと、「人と相互依存できること」だといっています。
「人を頼って、人から頼られる、それのバランスのよい人が、よい人間だ」と。 大人も、子供もです。
「依存」というと、一般的にマイナスのイメージがあります。
甘えのもとであり、精神的に自立できない原因というイメージです。
確かに度が過ぎた、一方的な依存は問題だと思います。
しかし、人間はひとりで生きていけるものではありません。 助け合って初めて生きていけます。
社会で「自立」するとは、人に頼る、頼られる、そういう相互依存の関係が築けることだというのです。
それでないと、「自立」でなく「孤立」になってしまう、と。
そして、相互依存がうまく出来るようになるには、小さい時に親に依存出来るか否かで決まると話しています。
十分依存できたからこそ、安心し、満足し、自己肯定感を得ることが出来て、信頼することを覚え、
そして、「依存し依存される (頼り頼られる) 関係」がつくれるのだといいます。
「大人の役割」とは、子どもをしっかり見つめ続け、そういうことを身をもって教えるということでもあるのです。
まず、自分が相互依存の関係を築いているか・・・周りの人間、縁のある人達と助け合いながら生活をしているのか、
その辺から常に反省していかなければと思います。
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